谷川岳 一ノ倉沢烏帽子沢奥壁 南稜 

地上天気図は悪くない 寒気の影響が出ている 一ノ倉沢出合 テールリッジ
テールリッジ中間部 終了点から滝沢 取付で下山方向を見る 出合まで戻り振り返る

日 時    平成200614日(土)

参加者    AI沢さん、LTQ(私)・・・下越山岳会
行き先    谷川岳 一ノ倉沢 烏帽子沢奥壁
天 候    曇り(3P以降は霧雨混じり) 風も強く寒かった

目 的    クライミング
装 備    岩登り基本装備+夏山日帰り登山基本装備(双方とも最低限度)
登攀用具:ロープ(φ8.5mm・50m×2本)・ハーネス・ヌンチャク・シュリンゲ類・確保器・下降器・カラビナ、ハンマー&ピトン(少し)


03:20 自宅発
03:30 AI沢さん宅 コンビニ、高速内ではSA利用
05:40 水上IC
06:35 出合発
07:00 テールリッジ末端
07:50 南稜取付着 取付で3パーティー、先着パーティーにお聞きすると上にまだ14人いるとのこと
08:20 南稜取付発 すっかりかり身体が冷えて寒い。先行各パーティー全員合羽の上着を着ている。
11:15 終了 終わったら何だかガスが上がってきた。
11:30 下降開始 ルンゼ内を下降するので先行パーティと間隔を空けた
13:30 南稜取付付近着 随分遅い時間に登ってきた後続とのスライド、何パーティーか先の先行パーティーの遅れで待ちがあった。
14:20 テールリッジ末端着
14:40 一ノ倉沢出合着
15:00 P発 入浴、食事をして帰路
19:00 自宅着

概略
去年からAI沢さんと行こうと話していたが、仕事の都合やら、天気等で延期が続き昨年はボツ。今年こそ雪のあるうちにサックリとやりたいと相談していて、梅雨の具合から前半のチャンスは今週をリミットと考えていた。
お天気は心配の要らない予報だったが、上空の寒気の影響で少し問題あり・・・・
でも、谷川岳一ノ倉沢初挑戦なので楽しみにしていた。

記録
前日の天気予報は群馬県、水上の予報は悪くない。でも北日本を寒気が通過するので安心できない。AI沢さんを迎えに行き高速で水上を目指すが、案の定、新潟を過ぎたら雨だ。長岡を過ぎても雨。湯沢で雨は止んだが、空はドンより。
国境のトンネルを抜けると空が青くなっていたが、AI沢さんは湯檜曽で晴れでも、現地雨もアリだから手放しで喜べないなぁ・・・・

雲は比較的高くなっているが新潟側から雲が流れ込む。
登山指導所で登山届を提出(私達の所属団体が新潟県山協傘下である所属団体なので会長の証明印付きなので当日可)して出合に向かう。

出合のPに車はソコソコ停まっているが多いって感じでもない。準備中のパーティーが2組我々が最終組か?
最初にホンの少し雪を踏み、ブリッジで沢を渡り右岸のヘツリ道に上がるけれど間もなく、雪渓に降りる。南稜取付、中央稜取付、テールリッジ中間部、そして雪渓上に人が見える。
テールリッジを超えて本谷方向にも人が見える・・・・どこへ行くのだろうか?と思っていたらカメラマンの方ですね。

テールリッジを進むが、靴底が濡れているせいか、やけに滑る。この下山は嫌だなぁと思いつつ登る。逆層で歩き難い。テールリッジの中間のいい所で一休みして先に進む。

中央稜の取り付きを送り、バンドを奥に進むがバンドと云っても、そんな良い状態ではない。足元を見ると鋭く尖った岩の破片と岩に残された衝撃の痕跡・・・・こんなヤツ喰らったら即死だっぺ・・・ヤバイヤバイ急げ急げと烏帽子スラブを横切る。南稜テラスには順番待ちがいる。
アプローチで歩いているうちは感じないが、脚が停まると低い気温と谷から吹き上げる風でかなり寒い。合羽の上着を着込む。
順番待ちをしていると、ゴ〜ンという雷のようなブロック崩壊の音と、カ〜ンという落石の音
凹状ルートからかガスで見えないがピトンを叩き込む音。各パーティーのコールの声。色々な音が烏帽子沢奥壁周辺に響く。

1P AI沢さんリード
随分寒い所で待ったので、身体が冷え、身体が硬いよ・・・とこぼしながら登る。チムニー下で切る。

2P LTQリード
ツルベでそのまま行く。チムニーにザックを脚で押付け身体をジリジリ上げて行く。

3P AI沢さんリード
どこでも登れそうなのだが、そうでもない。丁寧に残置ピトンを探し登る。
ここまでの間結構、浮石が多く神経をつかった。
この辺からガス&霧雨となり風当たりの良い岩がシットリして嫌な感じだ。

4P LTPリード・・・・とはいえ、笹薮の踏跡を先に歩くだけ。
笹の葉先が濡れ気味。トコトコ歩く。2名の下降パーティーとスライド

5P AI沢さんリード
ハングの下に廻りこむルートだが、コールが聞こえ難い。

6P LTQリード
馬の背リッジの前半。細かいホールドが沢山あるので問題ないが、ピトンも何通りかのラインがある。あんまり適当に登るとロープの流れが悪くなる。風が強く時折、バランスを崩しそうになる。

7P AI沢さんリード
馬の背リッジの後半。出だしは問題ないが、クラックの出だしが濡れていて悪そう。
クラックの下は烏帽子スラブまでスパ〜ンと切れているのでリードは怖そう。

8P LTQリード
最終ピッチだ。下から見る分にはあまり難しくは見えない。でも事前の話で悪いと聞いている。それもしっとりと濡れ塩梅なので気持ち悪い。出だし直ぐの大きな岩が浮いている。乗っても大丈夫だが横方向の力で蹴って上へ登ろうとすると危ないと思う。これが落ちるととても悪いコースに落ちそうだ。やはり花崗岩よりここの岩質は濡れると滑る感じを受ける。
問題の上部、ホールドを探ると水が溜まっていた。まっず〜い。
手を服で拭い、ソールをズボンの裾で拭き細かく登る。よく観ると残置ピトンが豊富なのでヌンチャクを掛けA0で抜けた。フリーに拘る事より、落ちない事が今、この場では大事と考え臨んでいたので迷いはなかった。


終了後ルンゼ内を懸垂下降するので落石の可能性を考え、先行パーティーの状況をみながらとなる。
1P降りて2P目を下っていると、もう12時頃なのに登ってくるパーティー。我々がルンゼ内を降りて来たのを見たせいか馬の背リッジの6ルンゼ側のフェイスを登っているようだ。上にいるAI沢さんと話ているが聞く耳はなさそう。ボクの下降ラインからかもまだ、ラストが登ってくる。・・・・・しかもこのパーティー、3人でシングルロープを使用している。わかんねぇ・・・懸垂いいピッチとれるのかな?
草付き上部で、前のパーティーがうんざりした表情で、待ちくたびれて寒くて身体が硬直してきたよ・・・まったく・・・とボヤキも・・・・
私達も待ち組みの仲間入り谷から吹き上がる風が冷たい。

そんなこんなしながら、鎌形ハングを懸垂で降りて取り付の少し下に降りた。
ガチャ等身辺整理をしていると、上の方からラ〜クのコール。こっちまでは来ないが、かなり大きな岩が途中で砕け散弾の様に飛び散る。砕けた岩がブ〜ンという音たてスラブに落ちていった。

上に人が居るんじゃヤバイので早々に退散と考え中央稜取付迄は、上に注意しながら急いだ。

感想
幾つかの反省点と、評価点はあった。
でも、総論的には、南稜は技術的にどうこうという、ことではなく雰囲気なんでしょうね。
これからもユックリと経験を重ね事故らないことを第一義的に考え楽しみたいと思いました。

※ ルート上の支点は、ほぼピトン類でした。(噂のハンガーベタ打ちはウソぴょん)
※ 所々に腐って怪しいピトンもあり。また、リス自体が浮き塩梅の個所もあり。
※ ピトンの穴に対応するため、ダイニーマのソウンスリング+カラビナが重宝しました。
※ 各懸垂支点はシッカリとしたハンガーとかラッペルステーションが設置してありました。
あたり前ですがハンガーに通してある残置スリング、ピトン類の信頼性は自己判断。

AI沢さんお世話になりました。




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